あなたは「個人情報」について正しく理解していますか?
2019.12.20この記事の目次
はじめに
EXECJAPANのミトです。
先日の出来事なのですが、こんなことがありました。
知人の依頼でサイト制作を承ったときのことです。
―――――ここから回想―――――
私「WEBサイトにご自身の写真や似顔絵をのせるとユーザーに良い印象を持ってもらえますよ。似顔絵でしたら、こんな感じのイラストでどうでしょう?サンプルをご用意しました!」
知人Aさん「いいですね!」
私「ありがとうございます!あと、お名前も載せましょう!苗字をアルファベット表記にするのもいいですし、本名とは関係ないニックネームでも大丈夫ですよ」
知人Aさん「あ、でも個人情報になりますよね?やっぱり似顔絵も名前も載せないでください」
私「(あれれ???)……承知しました!では、似顔絵とお名前掲載は無しで!」
―――――回想終わり―――――
Aさんが全くご希望でないご様子でしたので、結局似顔絵のイラストとお名前は掲載せずに終わりました。
良質なサイト制作のためには、ご自身のお名前やお写真を掲載することも1つの手段として挙げられます。
サイト運営者の「顔」が見えるとユーザーからの信頼感がグッと上がるからです。
スーパーマーケットなどで売られている野菜に、生産者の方が「私が育てました!」と顔写真を載せているのと同じですね。
野菜でもWEBサイトでも、【自分の目の前の「モノ」が誰の手によって作られた(作られている)のか】。それが明白になっていると人は信頼を寄せるのです。
ただし、ご本人がそれを望まないとなると、それを押し切って掲載することはもちろん出来ません。
優先されるのは「掲載したいか、したくないか」というご本人の意思です。
そして、私がふと気になったのは「似顔絵イラスト」と「お名前(アルファベット表記の苗字やニックネームなどフルネームではないお名前)」の2つは果たして個人情報に該当するのか、ということです。
「似顔絵イラスト」は証明写真のような「顔写真」ではないので、イラストだけではご当人を連想できないでしょう。
「お名前」についても、アルファベット表記で苗字だけの掲載にしたり本名とは全く異なるニックネームなどであれば、こちらも個人を特定することは難しいと思われます。
ということで、今回は「個人情報」について調べてお話ししていきたいと思います。
個人情報という言葉に対するイメージ
個人情報と聞くと、個人が特定できるような、取り扱いに注意しなくてはならない重要な情報というイメージがありますよね。
どこからか流出してしまうと、悪用されてしまう危険性もあります。
度々ニュースでも個人情報流出の話題が取り上げられたりしています。
では、具体的に個人情報に該当する情報とはどのようなものがあるでしょうか?
例えば、個人の氏名、住所、電話番号、生年月日、家族構成、勤務先、所属団体、通学先など…。
それらは全て個人情報に定義されるのか、個人情報保護法に照らし合わせてみましょう。
個人情報の定義とは
「個人情報の保護に関する法律」によると、個人情報の定義は以下の通りです。
個人情報の保護に関する法律
(平成十五年法律第五十七号)
施行日: 平成二十九年五月三十日
最終更新: 平成三十年七月二十七日公布(平成三十年法律第八十号)改正
第二条 この法律において「個人情報」とは、生存する個人に関する情報であって、次の各号のいずれかに該当するものをいう。
一 当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等(文書、図画若しくは電磁的記録(電磁的方式(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式をいう。次項第二号において同じ。)で作られる記録をいう。第十八条第二項において同じ。)に記載され、若しくは記録され、又は音声、動作その他の方法を用いて表された一切の事項(個人識別符号を除く。)をいう。以下同じ。)により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)
二 個人識別符号が含まれるもの
引用:個人情報の保護に関する法律
https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=415AC0000000057#A
ちょっとややこしい言い回しかもしれません。
分かりやすく言い換えて整理してみましょう。
まず、氏名や鮮明な顔写真などは「特定の個人を識別できる」として、その情報単独で個人情報として該当します。
住所や生年月日、勤務先など、それ単独では個人を特定できなくとも、いくつかの情報を合わせることで特定で可能となる情報も個人情報に該当します。
また、「通販サイトでこんなものを買った」「どこの大学を卒業している」「こんな持病があってこの病院に何年通院している」といった情報も、単独だと個人情報にはなりません。
しかし、氏名や住所などの情報と紐づいている場合は個人情報となります。
次に個人識別符号ですが、該当する情報は二種類あります。
1つ目は指紋などの身体的特徴を符号化した情報。
2つ目はマイナンバーや免許証番号、パスポートの旅券番号などが該当します。これらも個人情報として扱われます。
今回のパターンは個人情報の定義に該当するか
では、「似顔絵イラスト」と「お名前(アルファベット表記の苗字やニックネームなどフルネームではないお名前)」は個人情報に該当するでしょうか?
まず「似顔絵イラスト」はよほど写実的なタッチのイラストでない限り「特定の個人を識別できる」とは言えないでしょう。
また、「アルファベット表記の苗字やニックネームなどフルネームではないお名前」についても、フルネームの本名が容易に推測できないので、個人は特定出来ません。
よって、個人情報保護法の観点から「似顔絵イラスト」と「お名前(アルファベット表記の苗字やニックネームなどフルネームではないお名前)」は、個人情報ではないと判断できます。
個人情報保護法における目的
個人情報の定義は上記でご説明した通りですが、個人情報保護法の目的もしっかり認識する必要があります。
(基本理念)
第三条 個人情報は、個人の人格尊重の理念の下に慎重に取り扱われるべきものであることにかんがみ、その適正な取扱いが図られなければならない。
引用:個人情報の保護に関する法律
https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=415AC0000000057#A
尊重されるのは個人の意思ですので、個人情報を取り扱う企業は慎重に行動することが求められています。
さいごに
今回は、個人情報の定義に関してお話しさせて頂きました。
曖昧に理解していたものをしっかり調べると、思い違いをしていた部分が明らかになったりして、自分の不勉強さが身に染みますね…。
しかし、常に正しい情報を取り入れ勉強を続けることで、自分の知識に自信がつきます!
特に個人情報保護については、どこの企業でも正しい知識を持つことが必要といえます。
お客様とよりよい関係を築くためにも、個人情報保護法の要点をきちんと理解して、ビジネスに生かしていきましょう!